新NISAとiDeCoの違い:制度を比較して自分に合う選び方を整理する

新NISAとiDeCoについて、制度の目的、税制、拠出限度額、引出しの制約、対象商品、手数料の違いを公的機関の情報をもとに整理します。

  • 出典15件
  • 最終確認
  • 更新
  • 広告/PRなし

新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)で特に注意したい違いは、お金を引き出せる時期です。売却して現金にする時期を自分で決められる新NISAに対し、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。税の軽くなり方や掛けられる金額も違います。制度名だけで優劣を決めず、「そのお金をいつ使う可能性があるか」で分けて考えると整理しやすくなります。以下は2026年9月17日時点の公表情報にもとづく整理です。

税金が軽くなるタイミングが違う

新NISAは、株式や投資信託などへの投資で得た売却益・配当や分配金を、一定の投資枠の範囲で非課税にする制度です。2024年からは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになりました。

iDeCoは、公的年金に上乗せして老後に受け取る私的年金制度です。加入も掛金の拠出も運用商品選びも本人が行い、掛金と運用益の合計額をもとに給付を受けます。

項目新NISAiDeCo
制度の位置づけ少額投資非課税制度私的年金制度
拠出時の税制購入に使った金額そのものは所得控除の対象ではない加入者が拠出した掛金は全額所得控除の対象
運用中の税制売却益・配当や分配金が非課税運用益は運用中非課税
受取時の税制NISA口座での投資による利益は非課税年金として受け取る場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象

表のとおり、iDeCoは拠出時・運用時・受取時の三段階で税の扱いが分かれます。所得控除でどれだけ税が軽くなるかは、掛金額や年収などによって異なります。受け取るときにも課税の仕組みがあります。NISAのほうは、口座の中で得た投資による利益を非課税にする仕組みです。どちらを選んでも、値下がりや損失の可能性はなくなりません。

拠出・投資できる金額の違い

新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円です。生涯の非課税保有限度額は合計1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円まで。NISA口座で保有する商品を売却すると、その簿価分の枠が翌年以降に戻ってきます。

iDeCoの掛金は毎月1,000円単位で設定し、最低額は5,000円です。上限は国民年金の被保険者区分と、勤務先の企業年金の有無で変わります。2026年9月17日時点の主な月額上限は次のとおりです。

加入区分iDeCoの主な月額上限
第1号被保険者(自営業者等)68,000円。国民年金基金の掛金や付加保険料がある場合は合算枠
第2号被保険者で企業年金等がない方(公務員を除く)23,000円
第2号被保険者で企業年金等がある方(公務員を含む)上限20,000円。ただし企業型DCの事業主掛金額やDB等の掛金相当額との合計が月額55,000円以内となる範囲
第3号被保険者23,000円
国民年金任意加入被保険者68,000円。国民年金基金の掛金や付加保険料がある場合は合算枠

この上限は近く変わります。2026年12月1日施行予定の制度改正で、第1号被保険者の上限(国民年金基金との共通の上限)は月額68,000円から75,000円へ引き上げられる予定です。第2号被保険者は、勤務先の企業年金の有無による違いがなくなり、企業年金と共通の上限として月額62,000円に一本化される予定です。ただし、企業年金等がある人は、企業年金等と合計して62,000円が上限です。iDeCoだけで62,000円まで出せるわけではありません。現行の上限は、企業年金なしで月額23,000円、企業年金ありで月額20,000円です。改正後の上限は2026年12月分(2027年1月引落分)から適用されるとされています。

加入できる年齢も広がる予定です。いまは国民年金の被保険者であることが加入の要件ですが、改正後は国民年金の被保険者でなくても、60歳以上70歳未満で次のいずれかに当たる人は加入・継続拠出ができるようになります。対象は、iDeCoの加入者、iDeCoの運用指図者、企業年金からiDeCoに資産を移す人です。いずれも、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないこと、マッチング拠出をしていないことが要件です。なお経過措置として、施行日から3年を経過する日までは、この3つに当たらない60歳以上70歳未満の人も加入できます。表の数値は現行制度のものなので、2026年12月以降は改正後の数値をご確認ください。(出典: 厚生労働省 2025年の制度改正、マネックス証券 iDeCo制度改正案内)

引き出せる時期は大きく異なる

いつ売って現金にするか。新NISAなら、それを自分で決められます。売った商品の簿価分は、翌年以降に生涯の非課税保有限度額として再利用できます。ただし、売るときの価格は相場しだいです。

iDeCoの老齢給付金は、原則60歳から受け取る制度です。60歳時点で確定拠出年金の通算加入者等期間が10年に満たなければ、受給開始年齢は段階的に後ろへずれます。障害給付金、死亡一時金、一定の要件を満たした場合の脱退一時金を除き、原則60歳までは引き出せません。

この違いは資金計画に直接かかわります。生活費や急な出費、近い将来に予定している大きな支出に備えるお金までiDeCoに回してよいかは、使い道と時期を確かめてから決める必要があります。

対象商品と手数料の違い

対象商品は、新NISAのつみたて投資枠が長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託、成長投資枠が上場株式や投資信託などです。制度が決める対象範囲の中で、実際に何を扱うかは金融機関によって異なる場合があります。二つの枠の対象商品をもっと詳しく知りたい場合は、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違いをご覧ください。

iDeCoでは、運営管理機関が選んで提示する投資信託、保険商品、預貯金などから商品を選びます。提示する商品数は3以上35以下とされているので、選べる商品もその費用も金融機関によって違います。預貯金や保険商品などの元本確保型の商品もありますが、投資信託等は元本を下回る可能性があり、受け取る額は運用成績により変動します。

もう一つ確認したいのが手数料です。費用は、新NISAで投資信託を買う場合、購入時手数料(ファンドや販売会社によってはかからない場合もあります)や保有中の運用管理費用(信託報酬)などで、どのような費用を負担するかは目論見書などで確認できます。iDeCoでは、国民年金基金連合会に新規加入・移換時の手数料2,829円と、掛金を納めるたびに105円を支払います。この105円は、2027年1月26日の口座引落し分から月額120円に改定されます(年単位で拠出している場合は、拠出期間の月数に応じて計算)。これとは別に、資産管理を行う事務委託先金融機関の手数料も掛金を納めるたびにかかり、三菱UFJ銀行の手数料表では66円です。運営管理機関の手数料は運営管理機関ごとに異なり、無料のところもあります。(出典: 三菱UFJ銀行 iDeCoの手数料、三菱UFJ銀行 国民年金基金連合会のiDeCo事務手数料改定のお知らせ)枠の大きさだけで比べず、続けている間ずっとかかる費用と、選べる商品まで見ておきましょう。

併用を考えるときの確認ポイント

厚生労働省が公開している資料は、税の優遇範囲が広く老後資産形成に適したiDeCoと、ライフプランに柔軟に対応するNISAとで「目的に応じた使い分けを」と呼びかけています(出典: 厚生労働省 iDeCoとNISA)。両方を使うかどうかを決める前に、次の点をご自身の状況に当てはめてみると、制度の性質を比べやすくなります。

  • 途中で使うかもしれないお金か、原則60歳以降まで使わない老後資金か。
  • iDeCoの掛金の所得控除と受取時の課税が、ご自身の所得、ほかの控除、受取方法・時期とどう関わるか。
  • 勤務先に企業型DCや確定給付企業年金などがあるか(iDeCoの加入要件や掛金上限が変わる場合があります)。
  • 各制度で選べる商品、購入・管理にかかる費用、金融機関の取扱条件はどうか。
  • 毎月の支出、生活防衛資金、将来予定している支出を差し引いても、無理なく続けられる金額か。

家計の余力を確かめるときは、毎月の支出を見直すという方法もあります。電気・ガスの契約を比べるときの確認点は固定費削減:電気・ガス切替による家計防衛にまとめました。制度全体の枠や注意点は新NISAとは?制度の基本を整理で扱っています。

比べる出発点は「いつ使うお金か」

投資による利益が非課税になり、売却の時期を自分で決められるのが新NISAです。iDeCoは掛金の所得控除や運用中の非課税がある一方、原則60歳まで引き出せず、受取時にも税の扱いがあり、掛金を納めるたびに手数料がかかります。途中で使う可能性があるお金か、老後まで使わないお金かを先に分けておくと、どちらの性質が自分の状況に関係するかが見えてきます。そのうえで、勤務先の年金制度と家計の状況に照らして、掛金の上限や手数料を確かめてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。特定の制度・商品・金融機関の利用を推奨するものではなく、運用成果や元本を保証するものでもありません。税制や年金制度は変更される場合があります。加入、掛金、商品選択、受給に関する最終的な判断は、最新の公式情報や必要に応じて税理士・社会保険労務士などの専門家に確認したうえで行ってください。

参考

記事の確認に用いた公開情報です。