NISAの金融機関変更:9月30日という期限と、「その年に1回でも買ったら変更できない」条件

NISA口座の金融機関は1年単位で変更できますが、手続きの期間は前年10月1日からその年の9月30日までで、変更届出書を提出する日以前にその年に1度でも買付をしていると、その年分は変更できません。変更前に保有していた商品の扱いと、売却で復活した枠がどちらの口座で使えるかまで、金融庁の公開情報をもとに整理します。

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NISA口座は1人1口座ですが、金融機関を変えられないわけではありません。ただし、手続きができる期間が決まっていて、しかも「その年に1度でも買ったかどうか」で可否が変わります。

制度の全体像は新NISAの基本で、口座を開く証券会社の比べ方はネット証券の選び方で扱っています。この記事では、すでに開いた口座を移すときの手順と条件を、金融庁の公開情報をもとに整理します。

変更はできる

金融庁のよくある質問は、はっきり「金融機関の変更は、可能です。」と回答しています(出典: 金融庁 NISA特設ウェブサイト よくある質問 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/question/index.html )。

前提として、利用者の非課税保有限度額は国税庁において一括管理されています(出典: 同上)。制度資料でも「非課税保有限度額は利用者ごとに管理される(国税庁による一括管理)。複数金融機関に商品を保有する利用者については、その非課税保有限度額は全て合算して管理される。」とされています(出典: 金融庁 NISAを利用する皆さまへ https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf )。

金融機関をまたいでも枠が二重になることはありません。 変更しても、使った枠は使った分として合算されます。

手続きは2段階

金融庁の案内によると、手順は次のとおりです(出典: 金融庁 よくある質問 同上)。

  1. 現在の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出する
  2. 現在の金融機関から**「勘定廃止通知書」**を受け取る
  3. 新しい金融機関に「非課税口座開設届出書」と「勘定廃止通知書」を提出する

書類が現在の金融機関 → 自分 → 新しい金融機関と往復するので、書類のやり取りに日数がかかります。この往復の時間を見込んで、期限から逆算する必要があります。

期限は9月30日

ここが最も重要です。

「変更後の金融機関の非課税口座にNISA口座を設けようとする年(年分)の前年10月1日からその年の9月30日の間に提出する必要があります」

(出典: 金融庁 よくある質問 同上)

つまり、ある年分のNISAを新しい金融機関で使いたければ、その年の9月30日までに手続きを済ませる必要があります。

変更したい年分提出できる期間
2026年分2025年10月1日 〜 2026年9月30日
2027年分2026年10月1日 〜 2027年9月30日

10月1日が翌年分の受付開始日です。年末に思い立って動くと、その年分には間に合いません。「年内に変えたい」と思った時点で9月30日を過ぎていれば、実際に新しい金融機関で買えるのは翌年からになります。

書類の往復に時間がかかることを考えると、9月に入ってから動き始めるのは危険です。

その年に1度でも買っていたら、変更できない

もう一つの条件が、この期限より厳しく効きます。

「ただし『金融商品取引業者等変更届出書』を提出する日以前に、変更前の金融機関のNISA口座で既に上場株式等の受入れをしているときは、その年分についての金融機関の変更はできません」

(出典: 金融庁 よくある質問 同上)

変更届出書を提出する日以前にその年に1度でも買付をしていると、その年分の変更はできません。

ここで効くのが、積立設定です。 つみたて投資枠で毎月自動積立をしている場合、1月の積立が実行された時点で、その年分の変更はできなくなります。

つまり実務上は、次のどちらかになります。

  • 年の初めに積立が走る前に変更を済ませる。 前年の10月1日〜12月31日のあいだに手続きする、というのが現実的な段取りです。
  • その年は積立を止めておく。 変更したい年に買付をしなければ、9月30日までの変更が可能です。ただしその年の投資機会を失います。

「9月30日まで」という期限だけを覚えていると、この条件を見落とします。買付があるかどうかのほうが、期限より先に効きます。

変更前に持っていた商品はどうなるか

変更しても、変更前の金融機関で保有していた商品が自動的に移るわけではありません。 商品はそのまま、変更前の金融機関のNISA口座に残ります。

そしてここに、見落とされやすい制約があります。

「金融機関の変更を行い、変更前の金融機関において保有する商品を売却した場合、その枠を再利用できるのは、変更後の金融機関におけるNISA口座に限られる。」

(出典: 金融庁 NISAを利用する皆さまへ 同上)

NISAでは、商品を売却すると簿価の分だけ非課税保有限度額が復活し、翌年以降に再利用できます(出典: 同上)。しかし金融機関を変更したあとは、その復活した枠を使えるのは新しい金融機関の口座だけです。古い金融機関で売っても、その口座で買い直すことはできません。

結果として、金融機関を変更すると口座が2つに分かれた状態になります。

  • 古い金融機関:過去に買った商品を保有し続ける口座。新規の買付はできない。
  • 新しい金融機関:これから買う口座。復活した枠もここで使う。

非課税保有限度額は国税庁が合算して管理するので、枠の管理そのものは破綻しません。ただし、明細を見る場所が2か所になります。

判断の順番

  1. その年にすでに買付があるか確認する。 積立設定を含めて。あれば、その年分の変更はできません。
  2. ないなら、9月30日までに書類の往復を終える。 書類は2つの金融機関を経由します。余裕を持ちます。
  3. 次の年分を狙うなら、前年10月1日以降に着手する。 年内、できれば積立が走る前に済ませます。
  4. 古い口座は残ることを前提にする。 保有商品は移りません。売却して復活した枠は新しい口座でしか使えません。
  5. 本当に変える必要があるかを先に考える。 手数料や取扱商品の差が、この手間と口座が2つに分かれる状態に見合うかどうかです。

比較の観点はネット証券の選び方で整理しています。

まとめ

  • NISA口座の金融機関は変更できます。非課税保有限度額は国税庁が一括管理し、複数の金融機関にまたがっても合算されます。
  • 手続きは、現在の金融機関に変更届出書 → 勘定廃止通知書を受け取る → 新しい金融機関に開設届出書と一緒に提出、の2段階です。書類が往復します。
  • 提出期間はその年の前年10月1日から、その年の9月30日までです。10月1日が翌年分の受付開始日にあたります。
  • 変更届出書を提出する日以前にその年に1度でも買付をしていると、その年分の変更はできません。 毎月の自動積立をしている場合、1月の積立が走った時点でその年は変更できなくなります。期限より先にこちらが効きます。
  • 変更前に保有していた商品は移りません。古い金融機関の口座に残ります。
  • 売却して復活した枠は、変更後の金融機関の口座でしか使えません。 古い口座で買い直すことはできません。
  • 現実的な段取りは、前年10月1日から年内のうちに、積立が走る前に手続きすることです。

ご利用にあたって:掲載内容は一般的な情報提供を目的としています。記載は2026年9月17日時点で金融庁が公開していた情報にもとづくもので、制度は改正される場合があります。具体的な手続きや必要書類は、利用している金融機関にご確認ください。本記事は特定の金融機関・金融商品を推奨するものではありません。

参考

記事の確認に用いた公開情報です。